済生会湘南平塚病院の回復期リハビリ特設サイトです。

話したい

talking

失語症リハビリの進め方

ある日を境に、言葉が話せなくなったら・・・聞いて理解できなくなったら・・・海外に一人ぽつんと置かれたような環境。きっと不安で怖いことでしょう。

原 因

脳血管障害・頭部外傷・てんかん等で、脳内の言語野と呼ばれる箇所が障害を受けると、症状が出やすくなります。

症 状

4つの言葉の能力が落ちてしまいます。例えば、「話す」物品の名前が言えない、スラスラ上手く話せない「聞く」相手の言葉が理解できない、テレビのニュースがわからない「読む」文字が読めない、書類が理解できない「書く」名前や文字が書けない、文字が思い出せないといった症状が出ます。大きく分けて、以下の2つのタイプがあります。

・「運動性失語」発話が出にくい、文字が書けない
・「感覚性失語」言葉をスムーズに話すが、内容が伝わりにくい

この他にもぎこちない話し方になる、言葉の音が分からないなど、多種の症状がみられることがあります。

治療

「話す・聞く・読む・書く」の中で、患者さんの得意・不得意、理解出来る・出来ない事を把握し、得意な分野を使って、苦手な分野を刺激します。言葉だけではなく、多くの刺激が脳に入るよう、時には行動や感覚を使用して言葉の練習に繋げていきます。治療に遅れが出ないように、STチーム全体で患者さんの状態を把握し、治療に対応しています。
 

聞く・読むの理解

失語症では、聞く・読むの理解する事、話す・書くの表出する事の状態をみます。

①聞く ②読む(理解する事の2つ)の評価

聞く力

物品の選択

時計はどれですか?

単語・文章

バナナはどれですか?

2

読む力

物品の選択

これはどれですか?

単語・文章

単語・文章を読んで理解しているか

 

①話す ②書く(表出する事の2つ)の評価

話す力

これは何でしょう?

この人はなにしてますか?

2

書く力

名前を書いてみる(なぞり書き、模写)

書称(絵カードの状況を書く)

 

各症状に合わせた練習

声が出ない・言葉が出ない場合

身体を使って声の誘導

オペラみたいに手を広げて発声します。

歌を使って声の誘導

しらかば~♪あおぞ~ら♪

一緒に読む(単語・文章)

せーの、「歯をみがく」(二人で)

文章の後半を言う(補完)

「ご飯を」「食べている」

聞いて理解できない

1分間で多くの単語を聞いて、指さしていく

1単語→2単語→3単語と徐々に聞く量を増やし、言葉の記憶にもアプローチ

ポインティング(絵)
ポインティング(文字)
並び替え

総合練習

日記を書く

日記に想いを書いて見返したり、ご家族様にも状況をお伝え致します。

役割・話題を決めて会話

「お仕事の繁忙期はいつ頃ですか?」「年末と年度末が忙しいです。」

 

「大切な人に想いを伝えたい、意思表示したい」を真剣にサポート、
笑顔を引き出すお手伝いを致します。

 

失語症のリハビリ、ちょっと詳しく

失語型分類の流れ

①まず大まかに2つに分かれます。滑らかに話せるのか、言葉が少なく話しにくそうにしているのか。

② 遅次に、もっと細かく8タイプに分けて考えます。通常このタイプ分類に分けて、訓練を行っていきます。
 

しかし、他の障害が混ざって、実際はきれいにタイプごとに分かれないそこで当院で試みていることは次の通りです。

失語型分類の流れ

当院の試み

失語症に注意障害・失行(やる事が頭でわかっていてもできない)・認知症などの症状が重なって、判断が難しいケースがあります。そこで、私たちはそれらの症状を拾い、どのような理由で症状が出現しているのかを探り、多方面からアプローチします。時には言語と直接関係ないように思われる、「行動や感覚」を通して、言語治療に繋げていくといった事も行います。











例えば:滑らかに話すが、内容が伝わらないタイプの方の場合言語のリハビリと行動・感覚入力を並行して行います。

症状:落ち着くことが出来ず、言葉の練習に取り組めない

  1. 行動を観察:どうしたら落ち着くのか、安心できるのかを考える。
  2. 落ち着く方法の模索:視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚などの五感から落ち着く刺激を調べていく。
    不安な気持ちへ働き掛けていく。これを感覚統合と言います。
  3. 感覚の統合:例)皮膚からの感覚(触覚や風:手をつないで散歩するなど、
    温度:温かいおしぼりを手や顔に当てる・日光浴など)が入ることで落ち着くのかを試していく。これが五感を刺激する一部に当たります。
  4. 感覚の統合で落ち着いてきたら、日常動作(手を洗う、髪をとかす、歯を磨くなど)を行うことで、生活リズムが整うことが出来る。
  5. 生活リズムが整うと、入院環境に慣れることが出来、より言葉の練習に集中出来るようになってくる。ここから本格的に言葉の訓練です。
 

型にはめるのではなく、患者さん個別の症状を見極めて、患者さんごとのオリジナルの練習を積み重ねていきます。

言葉の練習+ベースアップ=改善へつなげる

構音障害

話す楽しみを取り戻しましょう!

「ろれつが回らない、話しにくい、よだれが垂れる、飲み物が口からこぼれる」などの症状が現れると、人と会って話したり、人前で食事を取ることが苦痛になったり、よだれがこぼれるため外出を控えたり・・・日常生活に支障をきたします。

認定セラピスト

原 因

脳疾患や頭部外傷での麻痺、失調・パーキンソン病等の神経疾患により、話す機能に障害が起こる事があります。

症 状

発音の他、呼吸・発声・話すリズムなども障害を受けると、相手が聞き取りにくい話し方になります。

治療

 聞き取りやすい発話になるように、CIセラピーという方法も含めた顔面・舌の筋トレや呼吸へのアプローチを行います。(CIセラピー:詳しくは顔面神経麻痺のページへ)

 

どんな流れで治療する

唇の麻痺:唇が閉じれない

コーヒーがこぼれてしまう、よだれがたれてしまう、唇の音「パ行、バ行、マ行」がうまく話せない

ここの麻痺で唇が閉じれず、よだれやコーヒーがこぼれる

唇の筋力トレーニング中。強さを変えながら徐々に強化していきます。

頬の麻痺:唇が下がる

見た目の問題、話しにくさ、飲み物が上手く飲めない

電動歯ブラシ改良のオリジナルの道具で、顔面の麻痺側に刺激を入れて、筋肉が固まらないようにします。

電動歯ブラシを改良した道具(近隣の歯科医と連携)

舌の麻痺①:舌が偏って、ろれつが回らない

聞き返される、食べ物が口に残る

舌の筋力トレーニング(側方)偏った舌を中央の位置に戻し、バランスを取ると話しやすくなったり、ご飯が食べやすくなる効果があります。

舌の麻痺②:舌の力が弱く話しにくい

聞き返される、飲み込むとき不利

舌の筋力トレーニング(前方)前方への筋力が上がることで、話しやすさや飲み込みやすさが改善します。

呼吸や話すリズムの障害 抑揚やリズムが崩れる、発話が途切れると聞き取りにくい。

呼吸や発声、話すリズムを整えていきます

呼吸の練習も 話すのに大事です。
これを使うとペースが掴みやすい

「話したい」 「聞き返される事を減らしたい」「電話でも正確に伝えたい」をサポートします。
外出したくなる、そんな日々を取り戻すために、一緒に治していきましょう!

 

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